京都は中心部の三条通に,戦後まもなく建てられた既存町家の改修です。現代的な生活様式に合わせ,すでに何度か重ねられた改修の履歴に新たな更新を加えました。通りの喧騒を緩衝するように,敷地の一番奥の坪庭を中心に主要諸室を配置し,静けさと採光を確保しました。かつて通り土間であった位置に作られていたキッチンは一階の中心部へ移動させ,リビングダイニングと一体的に利用できる広がりのある空間としています。二階の2つの寝室に挟まれた書斎スペースにはトップライトを設け,暗くなりがちな一階へ一年を通じて明るさをもたらす光井戸としました。住み継がれたこの家の新たな主たちの趣向に沿って,オークを中心とした木の素材に和の彩りを添えたインテリアとしています。