海外で長年暮らしてきたご夫婦が終のすみかとして要望されたのは,ヨーロッパ滞在中に描いた絵や,蒐集されたコレクションを身近に感じることができる住まいでした。外観を特徴づける八角形の棟にはイタリア製の色ガラスをはめ込み,様々な角度から色の光が差し込むような導入・移動空間としています。室内は漆喰壁と古木仕上げの床を基調とし,深緑や青灰などの自然由来の色を効かせて,豊かな記憶が刻まれた調度品とのバランスをはかりました。窓台や水回りには奥様の絵付けによるタイルを使用し,きらきらした思い出が凝縮された宝石箱のような住まいです。