自然豊かな菰野の地に計画した,家族との時間を楽しむための終の住まいである。渓流のせせらぎや木立を抜ける風の音,野鳥のさえずりや野生動物の鳴き声。周辺の四季や時間のうつろいを映しとるような建築にしようと思った。敷地にある既存樹木を可能な限り残し,その間を縫うような配置計画としたため,外形は三叉に分岐し,住宅全体が樹木に守られたような佇まいとなった。周辺環境を最大限に内部に引き込むことを意図したため,壁で囲った部屋は和室(寝室兼用)のみ。開放的な土間仕上げとした中心部からは,奥行き2メートルの軒下空間が三方向へ分岐する構成である。そのうち二方向には,屋根を支える力強い梁の先に,木々の緑を縁取る開口部を設けたロフトが広がる。