京都市中心部である三条通りの角地に建つ,店舗併用住宅である。この地域は,近代建築や町家など多様な時代と様式が混在しながら街並みを形成しており,景観整備地区として規制を受ける。屋根勾配やその出寸法,ファサードの壁面線の後退などがその代表的なものであるが,本地区では,歴史的街並みへの配慮として,周辺に建ち並ぶ近代洋風建築の形態意匠を継承することにより,これらは適用除外となる。そこで道路側二面の外壁を三層構成(基壇・胴部・頂部)とし,列柱や連続する開口部,使用する素材を考慮することによりこの課題に取り組んだ。賑わいのある通りの角地という立地のため,整然とした古い街並みに対し,角柱を葬りシンメトリーを敢えて外しながら,構造体を後退させた凹凸のある開口部を小気味良く連続させた。一定の規制の中に動的な要素を持ち込むことで,ボリューム感を歩行者のスケールに軽減させ,三条通りにおける今日的なファサード形成を目指した。