長年住み慣れた敷地での建替えとなるこの住まいは,大屋根の下で2階分の高さを貫く,玄関先の「桂の樹」がシンボルとなっています。 細長な敷地形状(間口5.6m×奥行き13.5m)を活かし,手前と奥とを中程に設けた階段室で半階ずつずらしながら接続した,スキップフロアの構成です。小屋裏を含め合計5層となる床の各面に部屋を振り分け,上層に向かうにつれプライバシーを確保する配置としています。 住まいの中心部に位置する階段室では,トップライトの光が一階床から棟木に伸びる垂直壁を照らし,大(オリーブ色)と小(赤色)の丸鋼を組み合わせたデザインの手すりがその連続性をいっそう際立たせています。 一方で,半階分のズレは部屋間を繋ぐ視線や動線に長さを生み出し,生活空間の中に適度な距離感をもたらしています。