日本文化をこよなく愛し,日本への移住を決めた外国人のためのギャラリー付きの住居を,左京区に設計した。5×10mあまりの狭小地である敷地は,短辺を交通量の多い丸太町通に面し,両隣後ろを民家が近接する。4人家族の居住地として計画するには,街並みに溶け込む程度に閉じた外観でありつつ,敷地内部には私的な外部が必要であると考えた。そのため,敷地内に可能な限り大きな気積を有する外部空間を確保することが主題となった。とはいえ奥行きにも幅にも限界がある。そこで中庭を中心として敷地を平面的に前後に分割し,それらをスキップ構成にて繋ぐことで,対面する諸室に生じるレベル差により視覚的な広がりのある空間を創出した。住まいの中心となるのは内部ではなく外部である。中庭を周辺環境から独立したものとしてではなく,建築外皮が敷地内部に嵌入するような作り方で計画することで,結果として外部環境をも包含するような生活空間が生まれた。